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ハロー!!きんいろモザイクにおける『携帯電話』を考える

ハロー!!きんいろモザイクには、様々なアニメオリジナル要素があります。
一期にもオリジナル回はありましたが、作品のキャラクターの根幹に関わる設定の変化はあまりなかったような記憶があります。
二期では色々な試みが行われており、例えば10話で烏丸先生と久世橋先生が、5人組と同じ海水浴場に行ってたりしますし、
そこでの久世橋先生の「帰るの、寂しいです」と言って温泉に行く点は、少なからず久世橋先生の性格に関して、原作に無い新たな解釈が行われていると思われます。
9話で陽子の家に綾が一人で行く展開等は、それの最たる例でしょう。
11話で、綾が陽子の家に一人で訪問するシーンがありますが、これは9話の流れを継いでいないと描けないシーンだと思います。
このように、ハロモザではキャラクターに関わる点に、味がついている所が、結構あると思うのです。

これらの味付けが不味いか美味しいかは、個々人によって違うと思いますが、
美味しい、というか感動した時に「う~ん」と『唸らせられる』ような味付けが、時にあると思います。
今回語るのは、ハロモザを通して、私がとても唸ってしまった、ハロモザの隠し味の一つに関してです。

タイトル通りですが、今回語るのは『携帯電話』を通じた味付けです。
カレンはスマートフォンですが、この記事では特に区別はしない事にします。
前回のハロー!!きんいろモザイクが、良かったという話【前編】でも12話の電話の描写について語ったのですが、
それを含めて改めてまとめる感じになりますので、一部被っている部分があります。




きんいろモザイク原作では、『携帯電話』が出ている場面はありますが、それらは大抵がネタか、その場での目的の為に出てきます。
前者はアニメだと6話で、陽子が『お腹すいたね』とハートをめっちゃつけたりするネタに使われており、
後者は、これも6話で、穂乃花がカレンのメアドを知りたがる回、
ここは原作でも携帯電話がメインのテーマになる話ですが、
あくまでこの回では『カレンちゃんと近づく』のが穂乃花の目的であり、携帯電話はその為のツールというだけで、
後に頻繁に携帯電話でカレンと穂乃花の関係性が説明される訳でもありません。
つまり、恒常的に出てきたり、キャラの関係性を示すツールとしてはあまり使われないのです。

他に使われている例は、アニメだと8話、ファーストフード店での話で、
アリスはスマートフォンを見て『これが携帯?またカレンが意地悪してるんじゃ』と思うシーンがあります。
これはシノとアリスが『携帯電話を持っていない』という設定から来るものです。
(ついでに一期4話でも描かれましたが、パソコンも触らせてもらえません。)

この程度しか描かれず、更にこの作品はメインの登場人物が全て学校か大宮家に関係している為、
わざわざ使う必要もないのでしょう、描写もほとんどありません。
このため、原作ではあまりこの携帯電話という、離れた相手と手軽に話せる便利なツールについて考える事はありませんでした。

しかし、アニメでは明らかに『携帯電話』に関して追加された描写が多く、
特に二期では顕著です。 原作に無くてアニメ特有の考察材料と言えるでしょう。
二期の『携帯電話』に関するアニメオリジナルのシーンは、思いつく限りだと以下です。

・6話、カレンがウェイトレスの服装をしたシーンで、綾がカレンの写真を撮り、
綾「後でメールで送ってあげるわ」忍「綾ちゃん、私にも!」綾「しのは携帯もってないでしょ?」忍「プリントで…!」

・↑のシーンの直後、穂乃花(いいなぁ。私もカレンちゃんのメアド、教えて欲しいなぁ)

・8話Aパート、スマホの使い方をカレンが教えるシーン

・9話、綾が陽子に電話するシーン&お詫びのメールを送るシーン&もう一度電話をかけるシーン

・11話、『私カレンさん』からの一連のシーン

・同じく11話、カレンと穂乃花が二人で座っているシーンで
穂乃花「毎日メールくれないかな?」
カレン「もちろんです、それはお願いされなくても送るデス」

・↑のシーンの後、電車の前で
カレン「じゃあホノカ、メール送るデス!」
穂乃花「うん、私も送るね!」

・12話、アリスとカレンが花札をするシーンで
カレン「私、アリスやシノが携帯持ってないの、不便そうだなって思ってました。携帯あっても不便デスネ」


細かい所はあるでしょうが、大体こんな所だと思います。
この中で、特に意味のある改変は、11話と12話だと考えます。
9話に関しては、ネタとして使われたのと、陽子に電話を再度かける目的としてだけで使われた事が明確な為、あまり本筋には関係ないので、飛ばします。

まず、6話から語りたいと思います。
上記のやりとりの通り、6話では、原作に無いカレンのウェイトレスの写真を撮るシーンが追加されています。
ここでは、Bパートで穂乃花がカレンのメールアドレスを知りたい話に繋げる為に、
Aパートの本来無かったシーンで携帯というツールを出して、「メアド教えて欲しいなぁ」という穂乃花の呟きを入れ、
Bパートへ自然な展開として繋げる役目を持っています。
ここは単にその目的の為に挿入されたシーンだと思いますが、上手く繋げているなぁと思いました。

次に8話での改変です。
ここのシーンは、スマホの使い方を教えてあげるカレンとアリスが微笑ましく見える、自然と挿入されたように見えるシーンですが、
12話を見てから見直すと、ここも目的があって挿入されたとも考えられます。
何故かというと、先ほど述べたようにカレンは『不便そうだなって思ってマシタ』と12話で言う訳ですが、
カレンがアリスや忍にこれを「不便そうだなと思わせるような」シーンは、ここ以外に見当たりません。
6話では綾と忍のやりとりなのでカレンは直接関係してないですし。
そう考えると、この8話の使い方を教えるシーンを、12話の為に挿入したとすら考えられます。
もしその狙いがあったなら本当に脱帽ですし、かなり秀逸な『味付け』だと評価したいですが、
ここでは他にも「アリスの身長が伸びて見える」と綾が言うシーンがあり、
それはカレンと並ぶアリスを見ての感想である為、単に12話の携帯電話の下りを考えず、自然に挿入されたとも考えられます。
ただ、結果的に12話で非常に上手く再利用されているのでどちらにしろ見事です。

さて、今回のメインである、11話の改変について考えます。
カレンさんに関しては、ネタで使っているのが明らかなので飛ばします。
この箇所は11話の公園?のシーンで、
「イギリスのお土産、何が良いデスカ?」というカレンの問いに対して、
穂乃花が「お土産じゃないかもだけど、毎日メールくれないかな?」と返しています。
穂乃花がカレンのメアドを知ってるのは、前述の6話があっての事ですが、原作ではその回以降、特に語られません。
それがオリジナルで「毎日メールする」という所まで突っ込んでおり、しかも、カレンは「お願いされなくても送る」という事を言っています。
確かに、6話でも中々メールをやめてくれなくて寝不足になった穂乃花のシーンがありましたので、カレンもメールは好きな方だと思われます。それを広く解釈すれば、カレンの返しにも納得がいきます。
更に、その後の電車のシーンで、もう一度、互いに「メールを送る」と言い合っており、二回同じ事を復唱しています。
カレンと穂乃花の間の「メール」による繋がりを、非常に強く描写して、視聴者に訴えかけているように感じます。

つまり何が行われたかというと、アニモザにおいて、
カレンと穂乃花の間の関係性を説明するのに『携帯電話』が一つの重要な要素になった訳です。
これがアニモザ11話における携帯電話を用いた最大の味付けです。
「お願いされなくても毎日メールをする」関係である、という事が明確にされました。

ですが正味、穂乃花カレンの関係性って、非常に味付けがしやすいんですよね。
メイン五人の結びつきと離れており、しかも穂乃花はカレン以外の誰とも、カレンほど仲良く交流している相手がいません。
その為、カレンと穂乃花の間にある関係は、きんいろモザイクにおいては、少なくともただ友人の一人、では済まない、「特別」である事が明確です。
(日暮香奈さんに関しては、いつも一緒に居ますが、情報量が少なすぎるので、関係性を断定は出来ません)
つまり、穂乃花の感情に関しては、かなり想像の自由度が高い為、
このメールに関する下りは、その自由度の高さを利用して、大体の人には受け入れられる味付けを上手く出来た、良い例だと思います。
(この「味付け」を、陽子と綾というメイン五人の内二人で大胆にやってしまった結果、評価が二極化してしまったのが9話だと考えます)




そんなわけで、11話のオリジナルがかなり大胆であった事に初見は驚いたのですが、
ここからさらにもっと味付けをしてきたのが、12話のオリジナルです。
前述したように穂乃花とカレンの間の関係性は原作の描写が少なく、また穂乃花にカレン以外の交友関係が少ない為にあまり問題無かったのですが、
12話は、原作に無い携帯電話に関する話を『忍とアリス』という、メイン五人組でも主人公格の二人で行っており、
下手に味付けをすれば、評価が分かれてしまいかねない部分であります。

それはカレンがスマホを出して来て、「アリス、シノに電話しますか?」と聞いてくるシーンです。
前の記事でも語りましたが、「私、アリスやシノが携帯持ってないの、不便そうだなって思ってました。」
という語りで、普通に見ていれば忘れているような「アリスやシノが携帯を持っていない」という要素をはっきりとカレンの口から出させ、
アリスの「言いたい事があったら、手紙で気持ちを伝えれば良いんだよ。私とシノだったら、そうするよ!」というセリフで、非常に上手くまとめています。
携帯電話という便利なツールを持っていない、その事に関するアニメ側なりの理由、解釈を示した一文とも言えそうです。
(追記・この台詞自体は原作準拠でした…読み込みが甘かったです
けれど、原作ではファーストフード店での一話だけだったこのテーマを、最終話でカレンと二人のシーンに持って来たというのは、
やはりアニメ特有の要素を含んでいるでしょう)

前の記事で語った通り、アリスとシノの関係性を上手く示したとても好きなシーンなのですが、
ここで先ほど語った8話、11話の携帯電話の描写と繋げて考えると、12話のこのシーンに違った解釈が見えてきます。
前述したように、8話の改変により、カレンがアリスにスマートフォンの使い方を教えてあげている為、12話での「不便そうだなと思ってました」という発言が自然な物になっています。
続いて、11話の改変を考える限り、カレンと穂乃花は、『イギリスに行ったら毎日メールする』事を約束しています。
直接描写はされませんが、当然12話でアリスと遊んだ日も、どこかでメールのやりとりを行っていたのでしょう。
「毎日」と言っていましたしね。

それを考えると、このシーンが、
カレンと穂乃花という『携帯電話』を重要な要素の一つとする二人と、
忍とアリスという『手紙』を重要な要素の一つとする二人として、
二つのコンビの関係性が対比されているようにも見えてきます。

ここまで来ると完全に拡大解釈な気もするんですけど、
しかし『携帯持ってないのを不便そうに思う』シーンで、カレンが穂乃花の事を全く考えていない、とは考えにくいんですよね。
『携帯電話』と、『カレンと穂乃花の関係性』は、11話のオリジナルにより強固に結びついている為です。
カレンは毎日穂乃花にメールしている訳なので、離れていても互いにコミュニケーションをとっているわけです。
対するアリスは、シノごっこをしてもらうくらいに忍とコミュニケーションをとっておらず、会いたいと思っている。
カレンは、自らが携帯電話のおかげで、離れていても日本の穂乃花と繋がっているから、
日本にいる忍が大好きなアリスにも、そのツールを分けてあげようと思ったのでは、という解釈が自分の中にはあります。
ただ、記述した通り、アリスはそれをやんわりと断り、『手紙』が重要である事を示します。
実は12話の花札のシーンが、カレンと穂乃花の関係性をも含んでいた、と考えると、面白い。
ここに二つの関係性の対比を見出すのは、8、11話の携帯電話の描写が無ければ出来なかった事です。
このような、ハロモザの携帯電話を用いた味付けに私は唸らされた、というわけです。



まとめると、6話でまず、メインキャラの携帯電話との関係を示しておいて、
8話のちょっとした改変で、カレンに、アリスが携帯を持っていない事をしっかり分からせる描写をする。
そして11話の改変で、穂乃花とカレンの間で『携帯電話』を重要な要素としてしっかり味付けをし、
これら全ての改変が、12話の花札のシーンへと繋がる。
………かなり拡大解釈が入っている気もしますが、こう考えると、
携帯電話を使った、ハロモザの一連の味付けが、とても綺麗に行われていて、見事だと思いました。


『携帯電話』、今の私達には当たり前のツールとなってしまっているもので、
現代を舞台とした様々な漫画、アニメ、ゲーム、の中でも、大体あるのが当然のツールとなっています。
そんな中で、きんいろモザイクを見直してみると、確かに携帯電話を持っている人もいますが、
単なるツールとしてだけではない、味わい深い描かれ方をしています。
私は、こういった細かい部分の描写を見直してみて新たな発見が出来るのが、
アニメきんいろモザイクにおける、描きこみの深さが良い方向に影響している部分だと思うのでした。
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端子

Author:端子
読み方は『たんし』でも『はしこ』でもなんでもいいです(自分ではたんしと読んでいますが)
『P』に特に意味はありません(アイマスシリーズはやったことありません)